top of page

アサーティブコミュニケーションの基礎知識

「断りたいのに断れない」「言いたいことがあるのに、つい飲み込んでしまう」

人づきあいのなかで、そんなモヤモヤを抱えたことはありませんか。伝え方が少し変わるだけで、人間関係はぐっとラクになることがあります。その助けになるのが、アサーティブコミュニケーションです。このページでは、初心者の方に向けて、基本の考え方をやさしくまとめました。

アサーティブコミュニケーションとは?

アサーティブコミュニケーションとは、自分の気持ちや考えを正直に、そして相手を尊重しながら伝える方法のことです。

「アサーティブ(assertive)」は「自己主張する」という意味の英語ですが、強く主張することとは違います。大切にするのは、自分も相手も同じように大切にする「対等な伝え方」です。

​

アメリカで発展した考え方で、日本でも企業研修や医療・教育の現場、子育てなど、さまざまな場面で活用されています。生まれつきの性格ではなく、知識と練習で身につけられるコミュニケーションのスキルです。人と話すのが苦手な方でも、少しずつ練習すれば大丈夫です。

​

身につくと、たとえばこんな変化が期待できます。

  • 無理な頼まれごとを、角を立てずに断れるようになる

  • モヤモヤした気持ちを、感情的にならずに伝えられる

  • 相手の話も落ち着いて聞けて、人づきあいの疲れが減る

アサーティブコミュニケーションを活かしてカフェで弾む穏やかな会話風景

なぜ「言えない」「断れない」が起こるの?

言いたいことが言えない背景には、いくつかのよくある気持ちがあります。

​

  • 「嫌われたくない」「波風を立てたくない」という不安

  • 「こんなことを言っていいのかな」と、自分の気持ちに自信が持てない

  • どう言えばいいのかわからず、言葉にするのが難しい

​

これらは性格の問題ではなく、「伝え方の選択肢を知らないだけ」ということがほとんどです。アサーティブコミュニケーションは、その選択肢を増やしてくれます。

柔らかな光のカフェで思慮深く考える女性

伝え方には3つのタイプがある

私たちの伝え方は、大きく3つのタイプに分けられます。

受け身型|緊張した面談で書類を見つめる女性

受け身型|言いたいことを飲み込む

自分の気持ちや意見を伝えることが苦手で、相手の考えや要求を優先してしまうタイプです。「自分さえ我慢すればいい」と考え、不満やストレスをため込みやすいのが特徴です。

攻撃型|緊迫したオフィス会議の対立

攻撃型|相手を押しのけて主張する

自分の意見を通すことを優先して、相手の気持ちを後回しにするタイプです。
「どうしてこんなこともできないの?」のように、相手を責める言い方になりやすいのが特徴です。

アサーティブ型|明るい会議室での対話

アサーティブ型|率直に相手も尊重する

自分の気持ちを正直に伝えながら、相手の事情にも耳を傾けるタイプです。「今日は難しいのですが、明日の午前ならお手伝いできます」のように、無理のない形で伝えます。

アサーティブは、「我慢する」と「責める」の中間にある、第三の選択肢です。多くの人は、場面や相手によってタイプが変わります。「職場では我慢するのに、家族にはきつく言ってしまう」ということも珍しくありません。大切なのは、どれが良い悪いではなく、今の自分の傾向に気づくことです。タイプの違いに気づくだけでも、「次はこう伝えてみよう」という余裕が生まれます。

アサーティブを支える4つの基本原則

アサーティブな伝え方の土台になるのが、次の4つの原則です。

​

  • 誠実:自分の気持ちにも相手にも、ごまかさず正直に向き合うこと。取りつくろったり、うそをついたりしません。

  • 率直:遠回しにせず、わかりやすく簡潔に伝えること。「察してほしい」を手放して、言葉にします。

  • 対等:相手を見下さず、自分も卑下しないこと。立場や年齢が違っても、人として対等と考えます。

  • 自己責任:自分の言動を自分で選び、その結果にも責任を持つこと。「言わされた」「仕方なく」ではなく、自分で決めるという姿勢です。

​

この4つは、ばらばらのルールではなく、どれも「自分も相手も大切にする」という同じ考え方から生まれています。すべてを完璧に守ろうとせず、まずは1つ意識するだけでも、伝え方は少しずつ変わってきます。

アサーティブの4つの基本原則

基本のやり方|DESC(デスク)法

実際に伝えるときに役立つのが、DESC(デスク)法です。4つのステップで、気持ちを整理しながら伝えられます。

​

  • D(Describe)描写する:事実を客観的に伝える

  • E(Express)表現する:自分の気持ちを伝える

  • S(Specify)提案する:具体的なお願いや提案をする

  • C(Choose)選択する:相手の答えに応じて、次の行動を選ぶ

​

Eでは、「あなたはいつも〜」ではなく「私は〜と感じています」と、自分を主語にして伝えるのがコツです。相手を責める印象が減り、気持ちが届きやすくなります。場面に合わせて、伝える前に4つのステップをメモに書き出しておくと、落ち着いて話せます。

​

たとえば、急な仕事の依頼を断りたいときは、こんなふうに伝えます。

「今日中に資料を、というご依頼ですね(D)。ただ、今は別の締め切りがあって、手が回らず困っています(E)。明日の午前中なら対応できますが、いかがでしょうか(S)。」

​

相手が了承してくれればそのまま進め、難しいと言われたら優先順位を相談する(C)、というように進めます。ポイントは、「できません」で終わらせず、自分の事情と代わりの案をセットで伝えることです。

DESC法の4ステップ

どんな場面で役立つ?

アサーティブコミュニケーションは、特別な場面だけのものではありません。日常のあらゆる場面で使えます。

​

  • 職場:依頼の断り方、上司や同僚への意見の伝え方、お願いの仕方

  • 家族・友人:頼まれごとへの返事、距離感の取り方、言いにくい本音

  • 自分自身:がんばりすぎている自分に気づき、気持ちを大切にすること

​

ママ友やご近所づきあい、お店での対応など、ちょっとした日常のやりとりにも役立ちます。悩み別の学びページも順次追加していきますので、気になるテーマから読んでみてください。

Image by Google DeepMind

アサーティブについてのよくある誤解

  • 「自分の意見を通す方法」ではありません。 相手に合わせることも、折り合いをつけることも、自分で選んだのであればアサーティブな対応です。

  • 「いつも本音を言うこと」でもありません。 言わないという選択も、自分で決めたことであれば、アサーティブのひとつです。

  • 相手が必ず変わるわけではありません。 変えられるのは自分の伝え方だけ。それでも、伝え方が変わると、関係が少しずつ変わっていくことは多くあります。

​

また、慣れるまでは言い方がぎこちなく感じたり、相手が驚いたりすることもあります。最初から完璧を目指さず、少しずつ慣れていくくらいの気持ちで大丈夫です。

窓辺で綴る穏やかなひととき

まずは小さな一歩から

アサーティブは、知識として知るだけでなく、少しずつ練習することで身につきます。いきなり難しい場面で使おうとせず、小さな場面から始めてみましょう。たとえば、「今日は疲れているから、返信は明日にするね」と一言伝えてみる、「どちらでもいい」ではなく「私はこっちがいいな」と選んでみる、といった小さなことで十分です。

​

うまくいかなかった日があっても、気にしなくて大丈夫です。「今日はここまで言えた」と、できたことに目を向けてみてください。続けるうちに、自分の気持ちを言葉にすることが少しずつ自然になっていきます。

​

日本アサーティブクラブでは、オンラインで気軽に練習できる入門講座を開催しています。初心者歓迎、参加無料です。ひとりで悩まず、ゆるっと一緒に学んでみませんか。

「悩みから笑顔へ、心の変化」

まとめ

  • アサーティブコミュニケーションとは、自分も相手も大切にする伝え方

  • 受け身型・攻撃型・アサーティブ型の3つのタイプがあり、場面で変わる

  • ​4つの基本原則(誠実・率直・対等・自己責任)がある

  • DESC法を使えば、気持ちを整理して伝えやすくなる

  • 性格ではなくスキルなので、練習で身につけられる

bottom of page